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特定資産の買換えによる圧縮記帳の特例制度の要件を解説

法人税法における特定資産の買換えによる圧縮記帳の特例は、譲渡益に対する課税を繰り延べることができる制度ですので、要件を満たした資産を買い換えることにより、買換え時に生じる税負担を軽減できます。

本記事では、特定資産の買換えによる圧縮記帳の特例の要件および、適用する際の注意点について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

特定資産の買換えによる圧縮記帳の特例の概要

「特定の資産の買換えの場合の課税の特例(租税特別措置法第65条の7)」は、特定資産の買い換えをした際、圧縮限度額内の範囲内でその帳簿価額を減額して損金算入する経理(圧縮記帳)をすることで、譲渡益の課税を繰り延べできる制度です。

棚卸資産以外の特定の資産を譲渡し、譲渡日を含む事業年度において買換資産を取得するだけでなく、買換資産を取得日から1年以内に事業用に供することが求められます。

特例の適用で繰り延べることができるのは原則譲渡益の80%であるため、譲渡益全額を繰り延べることはできません。

また、買換資産は譲渡資産の取得価額を引き継ぐことになるため、減価償却費として計上できる額も減少します。

特定資産の買換えによる圧縮記帳の特例の適用要件

特定資産の買換えによる圧縮記帳の特例を適用するためには、譲渡資産と買換資産の双方で要件を満たさなければなりません。

譲渡資産と買換資産の組み合わせ

特定資産の買換えによる圧縮記帳の特例を適用する場合、譲渡資産と買換資産が一定の組み合わせに該当する必要があります。

特例対象となる代表的な組み合わせは、長期所有資産の買換え(3号買換え)です。

<長期所有資産の買換えの組み合わせ>

・譲渡資産
日本国内にある土地・建物・構築物等で、所有期間が譲渡した年の1月1日時点で10年を超えるもの

・買換資産
国内にある土地・建物・構築物等
(土地については事務所や工場などの特定施設の敷地のように供されるもの、または一定の要件を満たした駐車場の用に供されるもので、面積が300㎡以上のものに限る)

圧縮記帳の対象となる譲渡資産

譲渡資産は、次の要件すべてを満たしていなければなりません

<譲渡資産の要件>

・譲渡資産が棚卸資産ではない
・譲渡日が昭和45年4月1日から令和8年3月31日までの間
・一定の買換えに応じて定められている譲渡資産として、特定の地域にあることや一定の取得時期に取得したなどの要件を満たす土地等・建物・構築物・船舶である
・収用・買取り・換地処分・権利変換等により譲渡する資産ではない
・贈与・交換・出資・現物分配・代物弁済により譲渡する資産ではない
・合併または分割により移転する資産ではない
・短期所有に係る土地重課制度の規定(租税特別措置法第63条)の適用がある土地等ではない
(短期所有に係る土地重課制度は、平成10年1月1日から令和8年3月31日までの間にした土地の譲渡等については適用が停止)

圧縮記帳の対象となる買換資産

圧縮記帳の対象となる買換資産は、次のすべての要件に該当する資産をいいます。

<買換資産の要件>

・譲渡資産に応じて定められている、土地等・建物・構築物・船舶・機械・装置である
・譲渡資産の譲渡日を含む事業年度に取得した資産である
(譲渡資産を譲渡した日を含む事業年度の前後1年以内に取得した資産も含む)
・取得日から1年以内に事業用に供した(供する見込み)
・長期所有(所有期間10年超)の土地等に係る措置については、買換えによって取得した資産が土地等である場合、特定施設の敷地の用に供されるもの、または駐車場の用に供されるもの(一定のやむを得ない事情があるものに限る)で、その面積が300㎡以上であること
・買換資産が土地等の場合には、取得した土地の面積が譲渡資産である土地等の面積の5倍以内であること
・原則として、合併・分割・贈与・交換・出資・現物分配・代物弁済・所有権移転外リース取引により取得する資産ではないこと

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