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法人が消費税の還付を受けるための救済制度とは?




法人が消費税の還付を受けるための救済制度について教えてください。


【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

1.消費税の還付を受けるための救済制度の概要

多額の設備投資(千万単位や億単位)を実施すると、多額の消費税を支払うことになります。
そのため、「課税売上高 < 課税仕入」となる可能性が高くなり、消費税の還付が受けられます。
しかし、仕入税額控除(課税仕入に対する消費税)を実額で計算するのが絶対条件です。

(1)対象事業者と消費税の還付を受けるための手続き方法
「免税事業者である場合」
設備投資をする課税期間開始の日の前日までに「課税事業者選択届出書」を税務署へ提出すること。

「簡易課税制度の適用事業者である場合」
設備投資をする課税期間開始の日の前日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署へ提出すること。

(2)前提条件
上記の対象事業者で、いまだに設備投資をしていないこと。
なお、すでに納品されている場合は救済制度の対象外となります。

(3)救済方法
設備投資をする時期が「免税事業者」や「簡易課税制度の適用を受けている課税期間」では、消費税の還付が受けられません。
そのようなときの救済する方法は、設備投資する時期を次の課税期間まで先延ばしにすることに尽きます。

(4)次の課税期間までに先延ばしする方法
・次の課税期間が到来するまで設備投資をしない
・課税期間を短縮する
・事業年度を変更する

2.課税期間を短縮する方法

この方法は、個人事業主と法人の両方に適用できる制度です。
たとえば、次の課税期間の到来が11ヵ月後の場合、設備投資を先延ばしにすると事業活動に支障をきたしかねません。
その到来日を前倒しにするのが課税期間を短縮する目的です。
具体的には次のように短縮することができます。

(1)個人事業主
暦年(1月1日~12月31日)→課税期間を1ヵ月間ないし3ヵ月間に短縮する。

(2)法人
事業年度→課税期間を1ヵ月間ないし3ヵ月間に短縮する。

(3)手続方法
「課税期間特例選択・変更届出書」を設備投資する直前の課税期間末日までに税務署へ提出。

(4)注意点
課税期間の短縮は原則2年間、強制適用となる。

(5)課税期間短縮の適用をやめる場合
短縮を止めようとする課税期間開始の日の前日までに「課税期間特例選択不適用届出書」を税務署へ提出。

3.事業年度を変更する方法

これは、法人だけの救済制度です。
「課税事業者選択届出書」や「簡易課税制度選択不適用届出書」の提出が決算月末日まで間に合わないときに、事業年度の変更により決算月を遅らせることで提出期限を先延ばしにできます。

(1)手続方法
定款を変更するためには、臨時株主総会を開催して決算月を変更する手続きが必要となる。
定款変更後に決算月変更の「異動届出書」を税務署へ提出。

(2)定款変更の条件
法人の経営権を意味する議決権の3分の2以上の賛成が絶対条件。
この3分の2の賛成のことを会社法では「特別決議」という。

4.課税期間の短縮と事業年度の変更のメリット・デメリット

それぞれの救済制度には、メリット・デメリットがあります。
それらを踏まえたうえで手続をする必要があります。

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