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譲渡所得の2,000万円控除の特例の要件および申告手続き

特定土地区画整理事業等のために土地等が買い取られた場合、2,000万円控除の特例を適用できます。

本記事では、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した際の特例の要件および、適用する際の注意点について解説します

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

譲渡所得の2,000万円控除の特例の適用要件(措法第34条)

「特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除」(以下、譲渡所得の2,000万円控除の特例)は、国や地方公共団体などが特定土地区画整理事業等のために、土地や土地の上に存する権利を買い取った際に適用できる特例制度です。

特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合とは、次のいずれかに該当するケースをいいます。

①国や地方公共団体、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社が土地区画整理事業、住宅街区整備事業、第一種市街地再開発事業または防災街区整備事業として行う公共施設の整備改善や宅地の造成、共同住宅の建設、建築物・建築敷地の整備に関する事業のためこれらの者(地方公共団体が設立した特定の団体を含む。)に土地等が買い取られた場合

②都市再開発法による第一種市街地再開発事業の都市計画法第56条第1項に規定する事業予定地内の土地等が、同項の規定に基づいて、その第一種市街地再開発事業を行うその事業計画の決定に先立って設立された市街地再開発組合に買い取られた場合

③密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による防災街区整備事業の都市計画法第56条第1項に規定する事業予定地内の土地等が、同項の規定に基づいて、その防災街区整備事業を行う、その事業計画の決定に先立って設立された防災街区整備事業組合に買い取られた場合

④古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、都市緑地法(同法第17条第1項若しくは第3項の規定により買い取られる場合には、一定の要件に該当するものに限る。)、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法、航空法、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づき土地等が買い取られた場合

⑤文化財保護法により重要文化財・史跡・名勝もしくは天然記念物として指定された土地、自然公園法により特別地域として指定された区域内の土地、自然環境保全法により特別地区として指定された区域内の土地が国や地方公共団体(地方公共団体が設立した特定の団体を含む。)に買い取られた場合(その重要文化財として指定された土地または史跡・名勝もしくは天然記念物として指定された土地が、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人国立科学博物館、地方独立行政法人(地方独立行政法人法施行令に規定する博物館または植物園のうち、博物館法に規定する公立博物館または指定施設に該当する博物館または植物園の設置および管理を行うことを主たる目的とするものに限る。)文化財保護法第192条の2第1項に規定する文化財保存活用支援団体(公益社団法人または公益財団法人であって、一定の要件に該当するものに限る。以下⑥において同じ。)に買い取られた場合(文化財保存活用支援団体に買い取られる場合は、一定の場合に限る。)を含む。)

⑥森林法の規定により保安林として指定された区域内の土地または、保安施設地区内の土地が保安施設事業のため国または地方公共団体に買い取られた場合

⑦防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律に規定する、集団移転促進事業計画に定められた移転促進区域内の農地等(農地、宅地、その他の土地)が同計画に基づき地方公共団体に買い取られた場合

⑧農業経営基盤強化促進法の地域計画の特例に係る区域内にある農用地が、その農用地の所有者等の申出に基づき農地中間管理機構(一定の公益社団法人または公益財団法人に限る。)に買い取られた場合

譲渡所得の2,000万円控除の特例が適用できないケース

土地等が特定土地区画整理事業等のために買い取られた場合でも、次に該当するケースでは、譲渡所得の2,000万円控除の特例を適用できません。

土地等が固定資産に該当しない

譲渡所得の2,000万円控除の特例の対象となるのは、固定資産に該当する土地等に限られます

特定土地区画整理事業等のために譲渡した土地等であったとしても、棚卸資産や棚卸資産に準ずる資産に対して適用することはできません。

また、特例対象地の上にある建物等や借家権の譲渡は適用対象外であり、所得税法施行令第79条の規定により、資産の譲渡とみなされる借地権の設定に対しても適用できません。

同一事業の2年目以降の譲渡

一の事業で、特定土地区画整理事業等の買取りが2以上行われた場合、譲渡所得の2,000万円控除の特例を適用できるのは、譲渡が行われた最初の年に限られます

したがって、特定土地区画整理事業等のために買い取られたとしても、2年目以降の譲渡では本特例を適用することはできません。

なお、一の事業の判定において、事業の施行につき合理的と認められる事情があるときは、次に掲げる地域ごとにそれぞれ別個の事業として取り扱われます。

  • ●事業の施行地について計画変更が生じ、変更に伴って拡張された部分の地域について事業を施行する場合(※)
     ○変更前の地域と変更に伴い拡張された部分の地域
  • ●事業を施行する営業所や事務所、その他の事業場が2以上あり、事業場ごとに地域を区分して事業を施行する場合
     ○区分された地域
  • ●事業が1期工事、2期工事等と地域を区分して計画されている場合において、計画に従って地域ごとに時期を異にして事業を施行する場合
     ○区分された地域

 
※一の事業に係る施行地の変更前において、変更前の地域にある資産を事業のために譲渡した者が、変更後に変更したことで拡張された部分の地域にある資産を事業のために譲渡する場合に限り適用

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