法人が税務調査を受ける場合、税務署が調査を行う目的を理解した上で、適切な対策を講じることが求められます。
税務調査は唐突に実施されますが、実際に調査が行われるまでには時間的猶予があるので、調査当日までに必要な準備を整えることが大切です。
本記事では、税務調査を受ける際の準備と、調査を乗り切るためのポイントについて解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
目次
税務調査を受ける前に
準備すること
税務署から税務調査の実施についての連絡が入った場合、調査対応のために必要な書類を整理し、迅速に提示できるよう準備することが求められます。
また、顧問税理士がいる法人では、事前に調査の進め方や対応策を確認しておくことも大切です。
調査通知を受け取った際の
初動対応
実地調査の事前通知の方法は、法令上で規定されていませんが、税務調査官から電話で伝えられることが一般的です。
事前通知のタイミングも法律上で定められていませんが、納税者が調査を受ける準備を整えられるよう、調査開始日までに相当の時間的余裕が設けられることとされています。
税務調査の対象期間は通常3年から5年ですが、脱税などの悪質なケースでは、最長7年まで遡って調査が行われることがあります。
<事前通知で伝えられる主な事項>
- ・調査開始日時
- ・調査場所
- ・調査の目的
- ・調査の対象となる税目・期間
- ・調査の対象となる帳簿書類等
調査で提示する関係書類の
整理と確認
税務調査では、確定申告書を作成する際に用いた資料の提示が求められますので、調査当日までに整える必要があります。
帳簿、領収書、請求書などは年度ごとに整理し、税務調査官が必要とする情報をスムーズに提供できる状態にしておきましょう。
また、電子データとして保管している場合は、検索しやすい状態に整理し、ダウンロードの求めに応じられるよう準備しておいてください。
顧問税理士との打ち合わせ
法人が顧問税理士を付けている場合、税務調査の連絡は税理士を通じて行われます。
はじめて税務調査を受ける際は、対応について不明点が多いことが考えられるため、税理士から調査対応のレクチャーを受けておきましょう。
また、調査当日の対応や説明の仕方についても税理士のアドバイスを受けておくことで、調査に対する不安を軽減できます。
税務調査当日の対応と
税務調査官との接し方
法人の税務調査は、1日から数日かけて実施されることが多いです。
税務調査官が確認したい事項が解明されれば、円滑に調査は進みますが、関係書類の提示がすぐに行えないなど、対応が遅れてしまうとその分だけ調査は長引きます。
質問への適切な回答と注意点
税務調査では、質問に対して明確かつ正確に対応することが求められます。
質問には簡潔に答え、曖昧な表現を避けることで、税務調査官が誤解なく情報を確認しやすくなります。
脱税行為は重加算税の対象となりますが、虚偽の回答をした場合も重加算税が課される要因となるため、注意が必要です。
また、調査時の不用意な発言は調査の長期化につながる可能性があるため、慎重な対応を心掛けましょう。
税務調査官との円滑な
コミュニケーション方法
税務調査官への対応では、冷静かつ協力的な姿勢を保つことが重要です。
事実に基づいた説明を心掛けるとともに、過度な防御的態度や強気な発言は避けましょう。
税務調査官からの質問に対して、すぐに回答するのが難しい場合は、確認してから答えるのが望ましいです。
曖昧な回答をすると、後に指摘を受ける可能性があるため、慎重な対応を心掛けてください。
税務調査が終了した後の
対応方法
実地調査による税務調査が終了する際には、税務調査官から必ず調査結果の説明が行われます。
調査の結果、申告誤り等を指摘された場合には、指摘事項を正確に把握した上で、必要な行動を取ることが求められます。