税務調査で役員退職金を否認されないようにするためには、どのような点を注意すればいいのでしょうか?
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【この記事の監修者】税理士法人桜頼パートナーズ会計 小髙事務所 小髙 正之
前回は、税務調査で役員退職金が争点になる可能性があること、そして金額を決める際の注意点などについて解説しました。
そこで今回は、役員退職金が調査官から否認されないケースと、その根拠について解説します。
役員退職金が一度も否認されない会社の根拠は利益積立金!?
税務調査で役員退職金が否認されてしまい、国税不服審判所で何度も争われることがあります。
これは、役員退職金の妥当な設定額にはグレーゾーンがあるからです。
詳しい解説はこちら⇒「役員退職金の金額を決める際の注意点とは?」
ところが、一度も調査官から否認されないケースがあります。
その際、根拠にしている金額が「利益積立金」です。
利益積立金とは、法人税法上の内部留保です。
これは、会計のように創業以来の採算金額の蓄積ではなく、税金を負担する能力です。
では、法人税法上の利益積立金とは、どのようなものなのでしょうか?
経費に認められない回収不能な債権を例に考えてみます。
・会計であれば、創業以来の採算金額の蓄積である内部留保から控除されます。
・利益積立金の場合は、経費に認められない以上、回収不能な債権はプラスされて計算します。
税務署が役員退職金を否認する根拠が法人税法であるなら、同じ法律である法人税法の規定にある内部留保を用いるので説得力があるのではないのでしょうか。
このように、会社が役員退職金の設定額が妥当である理由を説明できれば、調査官は簡単には否認できないのです。
税務調査における立証責任は調査官が負う!?
今回は役員退職金を例に考えてきましたが、この内容には経費に関する考え方が盛り込まれています。
なぜなら、税務署が否認するためのルールというものを、明確に示しているからです。
納税者が、経費に落とすことの妥当な理由を調査官に説明する際、ここでつまずいてしまえば否認されます。
しかし納税者が、金額が妥当である根拠を説明できれば、税務署がそれを否認するためには、覆すための証拠を示さなければなりません。
たとえば、