障害者の法定雇用率が改定されたとのことですが、どのような内容となったのか、また、特に留意しなければならないことはあるのでしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
2021年(令和3年)3月1日から、障害者の法定雇用率が引き上げられました。
一般企業であれば、従来は2.2%が法定雇用率でしたが、これが2.3%となりました。
(国や地方公共団体等は2.5%から2.6%、都道府県等の教育委員会は2.4%から2.5%に引き上げ)
わずか0.1%の引き上げとはいえ、変更に伴いこれまでは法定雇用率の適用対象外であった事業主が適用対象となる可能性もあります。
具体的には以下のとおりとなります。
変更前 → 従業員を45.5人以上雇用している事業主が対象
変更後 → 従業員を43.5人以上雇用している事業主が対象
この「43.5人」というのは43.5人×2.3%=1.0005人となり、1人以上の障害者の雇用が必要となるというところから導かれています。
ここで注意しなければならないのは、この制度における「従業員」(=常用労働者)とはどのような者を指すかという点です。
1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者や、20時間以上30時間未満の短時間労働者は含まれますが、20時間未満の労働者については含めません。
また、30時間以上の労働者は1人としてカウントしますが、短時間労働者は0.5人としてカウントします。
例えば正社員20人(週の所定労働時間が30時間以上とする)、短時間労働者50人の会社の場合、20人+50人×0.5=45人となり、法定雇用率の引き上げ前であれば障害者の雇用義務はありませんでしたが、引き上げ後は1人以上の雇用が義務となります。
常用労働者が100人を超える企業の事業主であって、障害者雇用率が未達成の場合、「障害者雇用納付金」として不足人数1人につき5万円/月が徴収される一方、達成した事業主には「障害者雇用調整金」として超過人数1人につき2万7千円/月が支給されます。
(この他、常用労働者100人以下で障害者を多数雇用している場合は「障害者雇用報奨金」として超過人数1人につき2万1千円/月が支給)