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就業規則違反の内容と懲戒処分の重さが均衡でない場合のリスク

男性社員が女性社員に対して卑猥な言動を行ったことが分かりました。

当社は、「ハラスメントは絶対に許さない」という社内方針があり、この社員を就業規則の規定に従い、14日間の出勤停止処分にする予定です。

なお、出勤停止は規定上最長14日間(公休日を除く)となっていますが、今回の処分は妥当でしょうか。


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

貴社の「ハラスメントは絶対に許さない」という社内方針は素晴らしいものだと思います。

また、ハラスメント(今回はセクハラのようですが)の事実があったということで、速やかな処分を検討されていることも適切な対応だと言えるでしょう。

ここで検討しなければならない点は「卑猥な言動」という行為の内容と、「出勤停止14日間」という処分の内容です。

セクハラに該当するかどうかの判断基準は「労働者の主観」(=被害者がどう思うか)と「客観性」から構成されており、「客観性」とは被害者が女性の場合、「平均的な女性労働者の感じ方」とされています。

そのため、1回だけ卑猥な言動を行っても裁判でセクハラと認定される可能性は低い一方、仮に女性社員が拒絶してもさらに卑猥な言動が行われるようであれば、セクハラと認定される可能性が大きくなります。

そのため、セクハラにあたる行為であったとしても行為自体は初めてのことであって、内容も軽微なものと思われる場合には、注意を与えるという対応で済ませた方が無難だと思われます。

卑猥な言動が繰り返されるような場合は明らかなセクハラとなり、懲戒処分も当然行われなければなりません。

就業規則にセクハラに関する規定があれば行為に対する処分の合理性はあり、あとは14日間という出勤停止期間が妥当かどうか(相当性)を検討することになります。

海遊館事件ではセクハラを繰り返した2名の男性管理職が、会社からそれぞれ出勤停止30日間と10日間の懲戒処分を受け、社内規定に基づき1等級降格になったため、処分が重すぎるとして提訴しました。

最高裁は、会社がハラスメント防止研修を毎年行っていたことや、管理職はそもそもハラスメントを防止する立場であるのに行為を繰り返していたこと等から2名の主張を退けましたが、実は高裁では「処分が重すぎる」という判断がされていました。

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