当社は社歴が浅く、従業員の平均年齢も若い会社ですが、数年後には複数の従業員が定年を迎えます。再雇用制度を就業規則に規定はしているものの、不備があるのではと心配です。ところで先般、再雇用制度で注目すべき判決が出たと聞きました。どのような内容なのでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
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確かに、東京地裁で定年再雇用に関する判決が出ました。
定年後、嘱託社員として再雇用されたトラック運転手が、正社員との賃金格差の是正を求めた訴訟で、「業務内容が同じなのに賃金が異なるのは不合理」として、請求通り正社員との賃金の差額、計約400万円を支払うよう会社側に命じたものです。
再雇用にあたって、会社は嘱託社員としての労働条件を提示し、運転手もその内容に同意していたようです。
では、なぜ訴訟にまで至ってしまったのでしょうか。
一般的に、定年後の再雇用における労働契約では、定年前の賃金は引き下げたうえで締結します。
再雇用の場合、出勤日数や勤務時間数が減ったり、仕事内容も定年前とはまったく違う業務であったり、定型的なものになることもあるでしょう。
新たな仕事をするようになり、年下の上司に指導してもらっているという話もよく聞きます。
企業側からすれば、嘱託社員の増員に伴う人件費の増加を抑えたいのは当然ですが、嘱託社員側から見ても、条件に該当すれば雇用保険の「高年齢雇用継続給付金」の支給等があるため、手取り額の大幅な減少が避けられます。
今回の判決でも、裁判所は「コストの増大を回避しつつ定年者の雇用を確保するため、賃金を定年前より下げること自体には合理性が認められるべきだ」(2016.5.14日本経済新聞より)としています。
ところが、