契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

非適格合併等により移転を受ける資産・負債に対する調整勘定の取扱い

非適格合併等は、法人税法上の原則的な処理方法により計算することになるため、組織再編時に課税関係が生じます。

本記事では、非適格組織再編成に該当する合併等を行った場合における、調整勘定の取扱いについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

調整勘定とは

非適格組織再編成により合併等を行った場合、法人税の計算においては資産および負債を時価により譲渡が行われたものとして処理します。

調整勘定は、資産および負債の受入処理を行う際に生じた、帳簿価額と時価純資産の差額です。

非適格合併等により資産等の移転を受けたときは、資産や負債に調整勘定が発生するかを確認し、状況に応じて必要な処理を行うことになります。

資産調整勘定・負債調整勘定とは

資産調整勘定は、非適格合併等で被合併法人等から資産および負債の移転を受けた際、交付した対価額が移転資産および負債の時価純資産価額を超える場合の差額をいいます。

負債調整勘定は、非適格合併等に係る非適格合併等対価額が、その非適格合併等により移転を受けた資産および負債の時価純資産価額に満たない場合の差額です。

資産調整勘定または負債調整勘定については、再編後60で除して計算した金額を事業年度の月数で損金の額または益金の額に算入し、5年間で償却処理を行います。

なお、負債調整勘定の金額には以下の3種類があり、取崩方法はそれぞれ異なります。

<負債調整勘定の種類>
・差額負債調整勘定
・退職給与負債調整勘定
・短期重要債務調整勘定

資産調整勘定または負債調整勘定の金額を有することとなった場合、その事業年度および金額を取り崩す事業年度の確定申告書に明細書を添付しなければなりません。

資産調整勘定の取扱い

非適格合併等で被合併法人等から移転を受けた資産および負債の時価純資産価額を超えるときは、超える部分の金額を資産調整勘定として処理します。

移転する資産の中に営業権がある場合、時価純資産額の計算に含まれるのは、独立した資産として取引される習慣のあるもの(独立取引営業権)に限られます。

差額負債調整勘定の取扱い

法人が非適格合併等によって被合併法人等から資産および負債の移転を受けた場合、非適格合併等に係る非適格合併等対価額が、その被合併法人等から移転を受けた資産および負債の時価純資産額に満たない場合、その部分の金額を差額負債調整勘定として処理します。

税務上において、「のれん」に相当するものを「資産調整勘定」、「負ののれん」に相当するものを「差額負債調整勘定」として取り扱います。

退職給与負債調整勘定の取扱い

「退職給与負債調整勘定」は、非適格合併等によって資産および負債の移転を受けた際、被合併法人の従業者を引き継いだときに発生する退職給与負債引受額をいいます。

従業者に対する退職給与債務を引き継いだ場合には、退職給与債務引受額を退職給与負債調整勘定として計上することになります。

退職給与負債調整勘定については、引継債務者が退職した際にその都度取り崩し、益金の額に算入します。

なお、退職給与債務の計上額は、一般に公平妥当と認められる会計処理に従って算定し、かつ確定申告書に添付する明細書に記載がある場合の退職給付引当金の額に限られます。

短期重要負債調整勘定の取扱い

「短期重要負債調整勘定」は、被合併法人等から移転を受けた事業者の利益に重大な影響を与える将来の債務をいいます。

該当する債務は、非適格合併等の日から概ね3年以内に履行することが見込まれるもので、損失額が移転資産の取得価額の20%相当額を超える場合、合併法人等が引き受けた債務については、短期重要債務見込額として短期重要負債調整勘定に計上します。

既に履行が確定しているものや、退職給与債務引受けに係るものについては、短期重要負債調整勘定の対象から除かれますのでご注意ください。

短期重要債務が実現した場合、損失額に相当する金額を取り崩し、益金の額に算入します。

非適格合併等の日から3年経過しても実現していない場合、または適格合併を除く自己を被合併法人とする合併を行った場合には、その残額を取り崩し、益金の額に算入します。

経営に役立つ無料セミナー・無料資料請求
PREVNEXT