弊所はアルバイトを多数雇用している企業です。
賞与について正社員や契約社員には支給していますが、アルバイトには支給していません。
最近「同一労働同一賃金」の話をよく耳にするようになり、アルバイトにも賞与を支給しなければならなのだろうかと経営上の危機感をもっています。
実際のところどうなのでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
「同一労働同一賃金」のガイドラインでは、賞与については次のように明記されています。
「ボーナス(賞与)であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。」
そして、「正社員には職務内容や業績等への貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、非正規には支給していない」場合を問題となる例として挙げています。
また、「生産効率及び品質の目標値に対する責任を負い、未達成の場合には待遇上の不利益を課されている労働者に賞与を支給し、責任を負わず、未達成でも不利益を被らない労働者には賞与を支給していない」場合は問題とならないとしています。
2019年2月の大阪医科大の訴訟(高裁)では、週5日間、1日7時間ぐらいの勤務体系で、時給制の50歳代の女性アルバイト職員に賞与が支給されないのは労働契約法違反であるとし、法人は約110万円の賠償を命じられました。(この女性職員は、すでに退職しています)
裁判所は判決で、大阪医科大の賞与が業績等と連動していないことを指摘し、アルバイトには正職員の6割を支給すべき、としました。
「業績等と連動していない」ということは、勤務成績が今一つであっても、あるいは法人の業績が思わしくない場合でも正職員には一定の額が支給される、ということを意味します。
ちなみに有期契約職員(月給制)にも正職員の約8割の賞与が支給されていたそうです。
そうすると、アルバイトだけ支給しないという根拠が合法であると立証することは極めて困難です。
従って、アルバイトを支給対象外としたいのであれば、少なくも以下の対応が求められることになるでしょう。