契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

テレワーク中に負傷等した場合の取扱い

当社は現在テレワークを積極的に行っていますが、先日ある社員から、「テレワーク中にケガをしたので労災の申請を行って欲しい」との申し出がありました。

テレワーク中の負傷が労災の対象となるのでしょうか。

なる場合は会社としてどのような手続きを行えば良いのでしょうか。


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

本社や支店・営業所等で勤務している場合の負傷や疾病はもちろんのこと、テレワーク中の負傷等であっても要件を満たせば労災保険の適用対象となります。

労災保険には「業務上災害」と「通勤災害」があり、テレワークにおいては通勤が発生しないため通勤災害はないのではないかという疑問も生じるところですが、テレワークには在宅勤務以外に「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」があり、このような勤務形態の場合には通勤災害もありえます。

さて、労災保険が適用されるための具体的な要件ですが、これには「業務遂行性」と「業務起因性」があり、どちらか一方を満たせば足りるということはなく、いずれの要件も満たすことが必要となります。

簡単に言うならば、業務遂行性があると言えるのは「仕事中に負傷等の災害が発生した」場合であり、業務起因性があると言えるのは「負傷等の原因となった災害は、仕事をしていたからこそ発生した」場合です。

労働契約に基づき社員がテレワークを行っている時間は「会社(事業主)の支配下にある」と言えるため、通常であれば労災保険の申請が可能となります。

テレワーク中の負傷等が業務上災害として認められたものとして、次のような事例があります(厚生労働省「テレワーク導入のための労務管理等Q&A集」)。

「自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した事案。これは業務行為に付随する行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものと認められないため、業務災害と認められる。」

PREVNEXT

関連記事

DX投資促進税制の適用要件と手続きの流れ

国はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために、令和3年度の税制改正でDX投資促進税制を創設しました。 本記事ではDX投資促進税制の...

就業規則違反の内容と懲戒処分の重さが均衡でない場合のリスク

男性社員が女性社員に対して卑猥な言動を行ったことが分かりました。 当社は、「ハラスメントは絶対に許さない」という社内方針があり、この社員を...

年末調整の対象者と適用可能な所得控除・税額控除の種類を解説

年末調整は、確定申告手続きの代わりに会社が税金の精算を行う手続きです。 会社員・公務員や、パート・アルバイトの方は勤務先で年末調整を行いますが、会社員...