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相続税の納税義務者の種類と課税対象財産の所在場所の判定方法

相続税は亡くなった人の財産に対して課される税金ですが、被相続人および相続人の国籍や居住場所によっては、相続税の対象にならない財産もあります。

本記事では相続税の納税義務者の種類と、課税対象財産の範囲について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

相続税の納税義務者ごとの課税対象財産の範囲

相続税の対象となるのは、原則として相続や遺贈により財産を取得した個人です。

法人は、基本的に相続税の納税義務者に該当しませんが、人格のない社団等や持分の定めのない法人については、例外的に納税義務者に該当するケースもあります。

相続税の納税義務者は、次の5種類に分類されます。

<相続税の納税義務者の種類>
・居住無制限納税義務者
・非居住無制限納税義務者
・居住制限納税義務者
・非居住制限納税義務者
・特定納税義務者

「居住無制限納税義務者」と「非居住無制限納税義務者」は、相続人等が取得した財産すべてが相続税の課税対象です。

一方、「居住制限納税義務者」と「非居住制限納税義務者」は、相続人等が取得した財産のうち、相続税法の施行地(日本国内)にあるものだけが相続税の課税対象となります。

たとえば、制限納税義務者が取得した海外財産は相続税の対象にはならないため、制限納税義務者となることで相続税を回避する方法もあります。

「特定納税義務者」は、相続財産を取得していない人が相続税の課税対象になるケースをいい、贈与税の特例制度を適用した際に該当する納税義務者です。

課税対象財産の所在場所の判断方法

相続人等が「居住制限納税義務者」と「非居住制限納税義務者」に該当する場合、海外財産は相続税の課税対象外となるため、所在場所の特定は重要です。

所在場所の判定基準は、財産の種類ごとに違うので個々に確認する必要があります。

<主な相続財産の所在>
財産の種類・・・動産・不動産
財産の所在・・・動産または、不動産の所在(船舶または航空機は、それらの登録をした機関の所在)

財産の種類・・・預貯金等
財産の所在・・・預貯金等を受入れした営業所または、事業所の所在

財産の種類・・・保険金
財産の所在・・・保険契約に係る保険会社の本店または、主たる事務所の所在

財産の種類・・・退職手当金等
財産の所在・・・退職手当金等を支払った者の住所・本店または、主たる事務所の所在

財産の種類・・・貸付金債権
財産の所在・・・債務者の住所・本店または、主たる事務所の所在

財産の種類・・・社債・株式・出資
財産の所在・・・社債・株式の発行法人または、出資されている法人の本店または主たる事務所の所在

財産の種類・・・国債・地方債
財産の所在・・・相続税法の施行地

財産の種類・・・外国が発行する公債
財産の所在・・・発行した外国

相続税の納税義務者の分類方法

相続税の納税義務者は、相続財産を取得した人だけでなく、被相続人の住所や国籍などの違いによって該当する納税義務者の種類が変わります。

居住無制限納税義務者の判定方法

居住無制限納税義務者は、相続や遺贈で財産を取得した人のうち、相続開始時点において日本国内に住所を有する人をいいます。

日本に継続的に住んでいる人は居住無制限納税義務者となりますし、一時居住者であっても、被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人以外の場合には、居住無制限納税義務者となります。

「一時居住者」に該当するのは、相続開始時点で在留資格を有する人が相続開始前15年以内において、日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下の場合です。

相続開始前15年まで遡って一時居住者の判定を行うため、日本国内に住んでいる人が相続開始直前に出国しても一時居住者には該当しません。

非居住無制限納税義務者の判定方法

非居住無制限納税義務者は、相続や遺贈で財産を取得した次に掲げる人のうち、相続開始時点で日本国内に住所を有しない人をいいます。

<非居住無制限納税義務者に該当する人>
●日本国籍を有する個人
以下のいずれかに該当する場合
・相続開始前10年以内のいずれかの時において日本に住所を有していたことがある
・相続開始前10年以内のいずれの時においても日本に住所を有していたことがない
(被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除く。)

●日本国籍を有しない個人
※被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除く

「日本国籍を有する個人」には、日本国籍と外国国籍を併有する者も含まれます。
「非居住被相続人」は、次のいずれかに該当する、相続開始時において日本国内に住所を有していなかった被相続人をいいます。
・相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがあり、かつ、その期間に日本国籍を有していない
・相続開始前10年以内のいずれの時においても、日本国内に住所を有していたことがない

居住制限納税義務者の判定方法

居住制限納税義務者は、相続や遺贈で日本国内にある財産を取得した個人のうち、相続開始時点で日本国内に住所を有する、居住無制限納税義務者以外の人をいいます。

非居住制限納税義務者の判定方法

非居住制限納税義務者は、相続や遺贈で日本国内にある財産を取得した個人のうち、相続開始時点において日本国内に住所を有しない、非居住無制限納税義務者以外の人をいいます。

特定納税義務者の判定方法

特定納税義務者は、相続や遺贈で財産を取得しなかった個人のうち、相続時精算課税を適用して被相続人から贈与により財産を取得した人をいいます。

贈与財産は基本的に相続税の対象になりませんが、相続時精算課税制度を適用して取得した贈与財産については、相続財産と合算して相続税の計算をしなければなりません。

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