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企業型確定拠出年金の制度や仕組み、法律について

確定拠出年金とは、個人又は事業主が拠出した掛金を基に個人が自己責任において運用の指図を行い、その運用収益により将来の年金給付額が決まる年金制度で、確定拠出年金法には、老後における所得の確保のための自主的な努力を支援し、国民の生活の安定と福祉の向上を目的とすると定められています。

確定拠出年金の種類は、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の2種類です。

この内、企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度や仕組みについて見ていきます。

【この記事の監修者】
定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

企業型確定拠出年金制度とは?

企業型確定拠出年金とは、企業が加入者である従業員の年金口座に掛金を毎月積み立て(拠出)して、加入者が自ら年金資産の運用を行う企業年金です。

企業型確定拠出年金は、原則60歳に達した場合に年金または一時金で受給することができます。

その受給額は、掛金と運用収益によって決まります。

企業型確定拠出年金制度の加入対象者

企業型確定拠出年金制度を実施する企業は、労使合意に基づいて作成した企業型年金規約について、厚生労働大臣の承認を受ける必要があります。

企業型確定拠出年金制度の加入対象者は、その企業型年金規約の承認を受けた企業に勤務する従業員です。

掛金の上限額

企業が拠出する企業型確定拠出年金の掛金は、企業が確定給付企業年金(DB)などの他の制度を実施しているかどうかで以下のように変わってきます。

(1)企業型確定拠出年金のみの実施や退職一時金、中退共制度を併用している場合

月額55,000円(個人型確定拠出年金へ同時加入する場合は月額35,000円)

(2)確定給付企業年金や厚生年金基金を併用している場合

月額27,500円(個人型確定拠出年金へ同時加入する場合は月額15,500円)

運用商品

金融機関などの運営管理機関が提示する預金、投資信託、保険商品などの運用商品から、加入者が自ら商品を選択して運用します。

加入者が選択する運用商品は、一つだけでなく複数の運用商品を組み合わせることも可能です。

選択肢として提示される運用商品は、3本以上35本以下の範囲で用意する必要があります。

給付の種類

確定拠出年金の給付の種類は、「老齢給付金」「障害給付金」「死亡一時金」の3種類です。

また、例外的な給付として「脱退一時金」があります。

それぞれについて、見ていきます。

(1)老齢給付金

老齢給付金は、確定拠出年金の加入者期間が10年以上ある方が原則60歳に達した場合に受給することができる給付金です。

受給開始年齢は、60歳から75歳までの期間で確定拠出年金の加入者が選択することができます。

ただし、企業型年金規約により受給開始時期が制限されていた場合には、規約に従わなければなりません。

老齢給付金を75歳までに請求しなかった場合には、強制裁定されて全額一時金として支給されます。

加入者期間と運用指図者期間とを合算した通算加入者等期間が10年に満たない場合は、支給開始年齢が以下の通りに先延ばしになります。

通算加入者等期間
8年以上10年未満
・・・受給可能年齢:満61歳
6年以上8年未満
・・・受給可能年齢:満62歳
4年以上6年未満
・・・受給可能年齢:満63歳
2年以上4年未満
・・・受給可能年齢:満64歳
1か月以上2年未満
・・・受給可能年齢:満65歳

老齢給付金の受給方法は、5年以上の有期年金または終身年金ですが、規約の規定により一時金や、一部を一時金とし残りを年金として受給することも可能です。

老齢給付金は、年金で受給した場合は雑所得として課税対象になります。

ただし、公的年金等控除の対象です。

一方、一時金で受給した場合は、退職所得として課税対象になります。

ただし、退職所得控除の対象です。

(2)障害給付金

障害給付金は、確定拠出年金の加入者や加入者だった方が傷病によって障害基礎年金の1級または2級に相当する高度障害などの状態となった場合に、60歳前でも受給することができる給付金です。

障害給付金の受給方法は、老齢給付金と同様に5年以上の有期年金または終身年金ですが、規約の規定により一時金や、一部を一時金とし残りを年金として受給することも可能です。

障害給付金は、所得とはみなされないため非課税です。

(3)死亡一時金

確定拠出年金の加入者等が死亡した場合、遺族が年金資産残高を死亡一時金として受給することができます。

加入者が生前に受取人を指定することもできますが、指定していない場合の受取人の優先順位は、以下の通りです。

1.配偶者
2.加入者の死亡当時、加入者の収入で生計維持をしていた子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹
3.加入者の死亡当時、加入者の収入で生計維持をしていた上記2以外の親族
4.上記2に該当しない子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹

死亡一時金は、みなし相続財産のため、相続税の課税対象になります。

(4)脱退一時金

脱退一時金とは、60歳前の転職や退職時にやむを得ない事由と認められる以下の一定の要件に該当した場合に受給することができる一時金です。

a.企業型確定拠出年金加入者資格を喪失した後に、企業型記録関連運営管理機関に請求するケース(個人別管理資産額が15,000円以下の場合)で、以下のすべての要件を満たした場合

・企業型確定拠出年金加入者、運用指図者、個人型確定拠出年金加入者、運用指図者でないこと

・個人別管理資産額が15,000円以下であること

・最後に企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失した日の翌月から6か月を経過していないこと

b.企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失した後に、企業型記録関連運営管理機関に請求するケース(個人別管理資産額が15,000円を超える場合)で、以下のすべての要件を満たした場合

・企業型確定拠出年金加入者、運用指図者、個人型確定拠出年金加入者、運用指図者でないこと

・最後に企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失した日の翌月から6か月を経過していないこと

・60歳未満であること

・個人型確定拠出年金に加入できない者であること

・日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと

・障害給付金の受給権者でないこと

・企業型確定拠出年金の加入者および個人型確定拠出年金の加入者として掛金を拠出した期間が
5年以内であること、または個人別管理資産額が25万円以下であること

c.個人型記録関連運営管理機関または国民年金基金連合会に請求するケースで、以下のすべての要件を満たした場合

・60歳未満であること

・企業型確定拠出年金の加入者でないこと

・個人型確定拠出年金に加入できない者であること

・日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと

・障害給付金の受給権者でないこと

・企業型確定拠出年金の加入者および個人型確定拠出年金の加入者として掛金を拠出した期間が
5年以内であること、または個人別管理資産額が25万円以下であること

・最後に企業型確定拠出年金の加入者または個人型確定拠出年金の加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと

脱退一時金は、一時所得のため課税対象になります。

ただし、一時所得には、特別控除があります。

企業型確定拠出年金制度のメリット

企業型確定拠出年金制度には、以下のようなメリットがあります。

(1)ポータビリティ制度があること

ポータビリティ制度とは、確定拠出年金で積み立てた年金資産を他の制度へ持ち運べる(移管)制度です。

企業型確定拠出年金は、転職先企業の企業型確定拠出年金へ移管することができるだけでなく、個人型確定拠出年金、確定給付企業年金(DB)、通算企業年金などにも資産移換することができます。

(2)マッチング拠出ができる可能性があること

企業型確定拠出年金は、会社が掛金の拠出をしてくれますが、加入者本人が掛金を上乗せして拠出することもできます。これをマッチング拠出といいます。

ただし、マッチング拠出は、「企業型年金規約」にマッチング拠出に関する定めがある会社でないとできません。

マッチング拠出の加入者本人が拠出する掛金は、全額所得控除の対象となるため、税金の支払いが軽減されます。

(3)自分にあった商品で運用することができる

企業型確定拠出年金の運用は、加入者である従業員自身が行うため、自分にあった商品で運用することができます。

例えば、将来の年金額を増やしたい場合はハイリスクハイリターンの商品を選ぶこともできますし、確実に年金を受け取りたい場合はローリスクローリターンの商品を選ぶこともできます。

また、運用で得た運用益は、すべて非課税です。

企業型確定拠出年金制度のデメリット

企業型確定拠出年金制度には、以下のようなデメリットがあります。

(1)原則60歳になるまで受給することができない

企業型確定拠出年金は、死亡した場合などを除き、原則60歳になるまで一時金や年金を受給できないため、現金が必要な事情があっても途中解約することができません。

(2)加入者の運用成績によって将来の受給額が決まること

企業型確定拠出年金は、加入者本人が運用商品を決める必要があります。

運用商品の中にはハイリスクハイリターンの商品もあるため、元本割れをする可能性もあり、将来の受給額に影響を与える可能性があります。

まとめ

企業型確定拠出年金は、事業主が拠出した掛金を基に加入者本人が運用して、その運用益により将来の受給額が変わっていくことが特徴です。

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