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職場のトイレの使用制限を違法とした最高裁判決

先日、トランスジェンダーの経産省職員に対して、職場のトイレ使用を制限することは違法という判決があったようですが、どのような内容だったのでしょうか。一般企業への影響はあるのでしょうか。

【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

この方(以下「X」とします。)は男性として生まれたものの、自分の性自認が女性という「トランスジェンダー」であり、経産省勤務の職員です。

平成10年頃から女性ホルモンの投与を行うようになり、平成11年頃に性同一性障害であるという医師の診断を受け、平成20年頃からは女性として生活するようになっていたこともあり、平成21年には経産省に対して女性の服装で勤務することや、庁舎内の女性トイレの使用の要望等を伝えたところ、経産省は仕事をしている階及びその上下階の女性トイレの使用を認めませんでした(それ以外の場所にあるトイレを使用して下さいということです)。

それから数年後、Xは人事院に対して、女性トイレを自由に使用することができるよう行政措置の要求を行ったものの、人事院はこれを認めませんでした。

そのため、Xは国を相手に訴訟を提起し、一審は違法、二審は適法との判断がされ、今年の7月に最高裁は違法という判断を行いました。

法廷意見では、「日常的に相応の不利益を受けている」、また、「女性トイレを使用することについて、トラブルが生ずることは想定し難く」「特段の配慮をすべき他の職員の存在が確認されてもいなかった」として、「裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるべきである」としています。

裁判官の補足意見の中に、経産省はXの戸籍上の性別は男性のままであり、これを女性に変更するためには性別適合手術を行う必要があり、そうすればトイレの使用についても他の女性職員と同じ扱いをする方針だった旨の話が出てきますが、Xは手術を受けることができない健康上の理由があったそうです。

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