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相続税を計算する際の財産評価のしかたと評価単位を解説

相続税は被相続人が保有する全財産を評価しなければならず、評価額を間違えれば相続税の過不足が発生します。

相続税評価額の計算方法は財産の種類によって違いますので、主な相続財産の評価のしかたについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

相続財産を評価する際の原則

相続税では、相続が開始した時点の価値(時価)を評価額とします。

時価は、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額です。

ただ実際の相続税評価額の計算においては、財産評価基本通達に規定されている方法により評価した価額を時価とします。

評価単位については財産の種類ごとに定められており、たとえば土地は1筆ではなく、1画地の宅地(利用単位)ごとに評価額を計算します。

土地の評価方法

土地の評価方法は、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。

路線価方式とは、路線価に評価対象地の面積を乗じて評価額を算出する方法です。

路線価は道路に設定されている金額をいい、評価対象地が接している路線価を用いて計算します。

また評価対象地の形状に応じた画地補正を行うことになるため、土地ごとに補正計算の有無を判断しなければなりません。

倍率方式とは、固定資産税評価額に評価倍率表に定めている倍率を乗じて評価額を算出する方法です。

適用する倍率は評価対象地の地目や地域によって異なり、路線価と評価倍率表は国税庁ホームページで確認することができます。

なお土地を貸付用などに使用している際は、利用用途に応じた補正計算を行い、被相続人が建物を所有する目的で土地を借りている場合には、土地を借りる権利(借地権)の評価も必要です。

建物の評価方法

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額に1.0倍を乗じた金額です。

貸付用として利用している場合、建物は減額補正の対象です。

相続開始時点において建築中であった建物については、その建物の費用現価(その建物に投下された建築費用)の70%を評価額とします。

一般動産の評価方法

中古車などの一般動産の価額は、原則として売買実例価額や精通者意見価格等を参考にして評価します。

売買実例価額や精通者意見価格等が明らかでない動産は、評価対象の動産と同種・同規格の新品の相続開始時点における小売価額から、対象動産の製造時点から相続開始時点までの期間の償却費または、減価を控除した金額によって評価します。

動産は1個(1組)ごとに評価するのが原則ですが、1個(1組)の価額が5万円以下の家庭用財産等は、一括して評価することも可能です。

上場株式の評価方法

上場株式は、次の4つのうち、最も低い価額を相続税評価額とします。

●相続開始日の最終価格
●相続開始日の属する月の毎日の最終価格の月平均額
●相続開始日の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
●相続開始日の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額

非上場株式の評価方法

非上場株式の評価は、会社の事業規模等に応じて、以下の評価方式により評価額を算出します。

いずれの方式も評価対象法人の財産等から株価を算出する方法であり、非上場株式は相続財産の中でも特に評価するのが難しい財産です。

<非上場株式の評価方式の種類>
●類似業種比準方式
●純資産価額方式
●配当還元方式

預貯金の評価

預貯金の価額は、相続開始時点の残高と、その時点で解約するとした場合に受け取ることができる利息の合計額を評価額とします。ただし普通預金については相続開始時点の残高がそのまま相続税評価額となります。

金融機関に残高証明書の発行依頼をすれば、相続開始時点の残高と利息の額を確認できるため、基本的に相続人が利息を計算する必要はありません。

書画骨とう品の評価

書画骨とう品の評価は、売買実例価額、精通者意見価格等を参考に評価します。

ただし、書画骨とう品の販売業者が有する書画骨とう品については、たな卸商品等として評価することになります。

電話加入権の評価

相続開始が令和3年1月1日以後の場合、電話加入権は家庭用財産等に含めても差し支えないとしています。

令和2年12月31日以前の相続においては、国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」に、都道府県ごとの電話加入権の価額が定めてありますので、その価額を評価額とします。

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