「働き方改革」の中に「高度プロフェッショナル制度」がありますが、具体的にはどういった内容なのでしょうか?
また問題点があれば教えてください。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
ここまで、働き方改革に関する労働基準法等改正案について、解説してきました。
最後の3回目は「高度プロフェッショナル制度」を見ていきます。
過去の記事はこちら⇒
「働き方改革におけるフレックスタイム制の見直しの問題点とは?」
「働き方改革における企画業務型裁量労働制の注意ポイントとは?」
高度プロフェッショナル制度とは、「特定高度専門業務・成果型労働制」をわかりやすく言い換えたもので、次の2つを満たした業務が対象となる予定です。
・高度の専門的知識等を必要とする
・従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる
具体的に想定されているのは、金融商品の開発業務やコンサルタント業務、アナリスト、研究開発業務などです。
以前、「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入を政府が検討し頓挫しました。
つまり、高度プロフェッショナル制度はホワイトカラーエグゼンプションの修正版のようなものです。
しかし、これらの業務を行なう者であれば全員が対象となる訳ではなく、対象とするには上記業務と同じく次の2つの要件を満たさなければなりません。
1.書面等による合意に基づき職務の範囲が明確に定められている労働者
2.1年間に支払われると見込まれる賃金の額が『平均給与額』の3倍を相当程度上回る労働者
なお、後者の賃金額とは省令で年収1075万円以上とされています。
ひとつは、「書面等による合意に基づき職務の範囲が明確に定められている労働者」であり、もうひとつは「1年間に支払われると見込まれる賃金の額が『平均給与額』の3倍を相当程度上回る労働者」となっています。
なお、後者の賃金額とは省令で年収1075万円以上とされています。
既に導入されている制度として似たようなものに、専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制がありますが、これらの制度は年収要件がないものの、労使協定の締結内容や働き方によっては割増賃金の支払いが必要となります。
これに対して高度プロフェッショナル制度は、年収要件(年収1075万円となるかどうかは現時点で未定)があるものの、どのような勤務をしようとも時間外労働や休日労働、深夜労働も含めて割増賃金の支払いが一切不要であるという点が大きく異なります。
企画業務型裁量労働制の導入には健康・福祉確保措置を講ずることが事業主に義務付けられており、高度プロフェッショナル制度にも次のいずれかの健康確保措置等が求められています。