税務・法律トラブルQ&A 無申告事例において重加算税賦課決定が取り消された裁決例 令和2年2月13日裁決です。 (事案) ●請求人は、昭和60年に設立された有限会社である。 ●請求人は、設立以降、平成15年の事業年度までは 税理士に依頼し、確定申告をしていたが、 翌事業年度から申告していない。 ●平成30年に税務調査が行われ、調査の結果、 期限後申告をした。 ●課税庁は、本件無申告は隠蔽又は仮...
税理士損害賠償研究 役員への助言で税賠 「顧問先の役員個人に対する税務上の説明助言義務違反が問われた裁判例」 をご紹介します。 東京地裁平成12年6月30日判決 (TAINS Z999-0066)です。 (事案) ●依頼者Xは、進学教室及び学習塾の経営を 主たる業務とする有限会社A社の取締役であり、 税理士Yと顧問契約を締結していた。 ●取締役であるXは、過...
税務・法律トラブルQ&A 会計法人への委託も守秘義務に注意 以前の記事で、 税理士が記帳代行業務も受託した場合に、その全部又は一部を外部の業者に委託する場合の民法上及び税理士法上の注意 について解説しました。 民法上、依頼者の許可を得ないと、原則として委任事務を再委託することはできず、税理士法上の守秘義務により、依頼者の許可を得ないと、原則として、秘密を漏らしてはならない、とい...
税務・法律トラブルQ&A 遺留分侵害額請求にかかる質疑応答事例 今回は、国税庁より、 「遺留分侵害額請求に係る質疑応答事例」 が公開されましたので、ご紹介します。 すでに知っている先生は、読み飛ばして いただければと思います。 【タイトル】 遺留分侵害額の請求に伴い取得した宅地に係る 小規模宅地等の特例の適用の可否 (令和元年7月1日以後に開始した相続) 【照会要旨】 被相続人甲(...
税務・法律トラブルQ&A 未分割申告の税賠判例 「未分割申告の税賠判例(税理士敗訴)」 についてご紹介します。 東京地裁平成30年2月19日判決 (TAINS Z999-0172) 未分割申告により税理士敗訴(損害賠償が認められた) となったものです。 (事案) 被相続人:A 相続人:X、B、C、D、E ●Aは遺言により、全財産をXに相続させる旨 意思表示をした。...
税務・法律トラブルQ&A 税理士法人と会計業務の注意(競業禁止規定) 税理士を守る会税賠対策の条項が盛り込まれた顧問契約書などのひな形50種類以上 会計業務委託契約書/会計業務再委託契約書/再委託に関する合意書など弁護士に法律相談をできる税理士業務に役立つ実務講座60種類以上視聴できる▶税理士を守る会の詳細はこちら 税理士法人の運営にあたっては、社員税理士の行動に法的な制限があることを正...
税理士損害賠償研究 契約を遡及させる場合の契約書の日付 税理士業務を行うについて、顧客との間で 契約書を締結していない、という先生も 多いことは承知しております。 しかし、契約書は税理士を税賠請求から守るもの でもあるので、ぜひ締結していただきたい、 と常々申し上げております。 そこで、昔からの顧問先との契約書を締結する ことになったが、税理士を守る条項などを 過去に遡及さ...
税務・法律トラブルQ&A 無報酬の税理士業務でも税賠の対象になるか? 「無報酬でサービスでやってあげた業務でも、 税理士損害賠償の対象になるか」 という問題を解説します。 「無報酬なのだから、委任契約は 成立していないのではないか?」 「無報酬なのだから、損害賠償責任は 成立しないのではないか?」 というような疑問もあると思います。 さて、この点を考えるには、 民法から考えていく必...
相続実務 遺言に関する法務と税務の違い まずは、法的理解からです。 遺言は、被相続人の死亡により、 ただちにその効力を生じます。 たとえば、「土地建物を長男Aに相続させる」 と記載があれば、被相続人の死亡によって ただちに相続の効力が生ずる、ということです。 遺言の効力を生じさせないためには、相続放棄をし、 はじめから相続人でなかったことにします。 しかし、...
相続実務 遺言の一部を遺産分割? 今回は「遺言と遺産分割の関係」についてです。 遺言書がある場合に、法定相続人全員で 協議して、遺言によらずに遺産分割を することがあると思います。 次のようなケースを考えてみます。 =================== 相続人:長男A、二男B 遺言書で、自宅及び現預金の全てを 長男Aが取得する旨記載がある。 ABで話...
税務・法律トラブルQ&A 歯科医師に対するカルテ開示 「税理士を守る会」をご利用の先生より寄せられた質問のうち 他の先生にも役立つと思われるものを一般化したものです。 【質問】 歯科医院の税務調査で、患者のカルテの 開示を求められた場合、個人情報保護法を 根拠として拒否ができますか。 拒否できないとすると、 税務署側に提示の要求ができる という規定があるのでしようか 。 ...
業務に役立つひな形等 決算承認なしで法人税申告は有効かどうか? 税理士を守る会税賠対策の条項が盛り込まれた顧問契約書などのひな形50種類以上 会計業務委託契約書/会計業務再委託契約書/再委託に関する合意書など弁護士に法律相談をできる税理士業務に役立つ実務講座60種類以上視聴できる▶税理士を守る会の詳細はこちら 今回は、「税理士を守る会」での質疑応答についてご紹介します。 「税理士を...
税理士損害賠償研究 税賠リスクが高い分掌変更による役員退職金の否認問題 分掌変更退職給与が否認された場合における課税は、ご存じのとおり、 「トリプルパンチ課税」と呼ばれるものです。 【法人税】 定期同額給与以外の給与になり、全額損金不算入 【所得税】 退職したことにならないので、給与所得課税 【源泉所得税】 給与所得になるので、徴収漏れ というものです。 そして、退職給与としての税務処理は...
税理士損害賠償研究 重加算税の取消裁決 平成30年10月2日裁決です。 相続財産である出資金の存在を知りながら、 相続税申告の際、税理士に告げなかったことが 隠蔽又は仮装と言えるかどうかが論点となった 事例です。 国側は、請求人が各共済契約について、 (1)関与税理士からの指示に基づき 解約返戻金相当額等証明書を取得したこと (2)被共済者等の名義を請...
税務・法律トラブルQ&A 民法改正による身元保証契約の注意点 民法改正により、身元保証契約の内容も 変更しなければなりませんので、ご注意ください。 まず、事務所と身元保証人との間で、 職員の行為によって事務所が受ける 損害の賠償を約束する身元保証契約を 締結した場合には、 「身元保証に関する法律」 の適用を受けることになります。 この法律では、身元保証契約の期間(期間の 定めのな...
業務に役立つひな形等 内容を説明しない契約書の有効性 顧問契約などを締結する場合、 契約書を締結することになると思いますが、 内容を説明しようとしても、 「いいよ。面倒だから」 と言って説明を聞こうとしない顧問先もあると思います。 そうやって成立した契約書は、有効でしょうか。 結論は、 「有効なことが多い」 ということになります。 最高裁昭和38年7月30日判決は、 「契...
税理士損害賠償研究 消費税の適切な課税選択の届出書について税理士に助言義務はあるか? 今回は、税理士損害賠償の裁判例のご紹介です。 平成26年3月26日判決 (TAINS Z999-0156)です。 ホテル業を営むグループ会社数社の 決算補助業務並びに法人税及び消費税の 申告業務を受任していた税理士及び 会計法人が、消費税に関し、 適切な課税選択の届出書を提出すべき助言を 怠った、として、損害賠償請求を...
税理士損害賠償研究 物納の助言指導義務違反が認定された裁判例 相続税申告業務における物納の 助言指導義務違反が認定された 税理士損害賠償の裁判例を紹介します。 名古屋地裁平成28年2月26日判決 (TAINS Z999-0170)です。 (事案) ●養親Bが死亡し、納税者が株式その他の財産を相続した。 ●納税者は、相続税を現金納付できなかったが、 税理士が物納について助言指導しな...
税理士損害賠償研究 礼金漏れで税賠になった裁判例 税理士損害賠償の裁判例の紹介です。 東京地裁平成21年10月26日判決 (判例タイムズ1340号199頁)です。 (事案) ●不動産賃貸業をしている原告が税理士であ る被告に対して,平成11年度から平成17年度までの 所得税の確定申告にかかる青色申告決算書及び 確定申告書の作成を委任した。 ●原告は、被告税理士に対し、...